最近は親と同居している方の割合は年々減っています。
65歳以上の親と同居している世帯は2000年には半数を切っていました。2015年には世帯の約6割が高齢者夫婦世帯か一人暮らしの高齢者世帯になっています。
親が元気なうちは、考えもしないと思いますが介護は突然にやってきます。
でも実際、突然介護が必要になった時に同居を選択できる方は非常に少ないと思います。
近隣に住んでいるならまだしも、遠方であれば尚更です。
いざという時に慌てない為にも、親の介護については早いうちから考えておく事をお勧めします。
この記事では、親元を離れて生活されている方が実際に準備しておくと良い事をまとめました。
親に介護が必要になる時期はわかりません。いぜという時に慌てない為に、参考にして頂ければと思います。
この記事でわかること
- 親に介護が必要になった時にパニックになりやすい方の傾向
- 別居介護を成功させるポイント
まず初めに今の現状を整理しましょう。
現在、どの程度親の状況を理解されていますか?
「まったくわからない」「時々電話する程度」「月1回は実家に帰っている」など現状は人それぞれかと思います。
では実際に、親が急に倒れてしまった時パニックになりやすい方を10項目にまとめてみます。
- 親との連絡手段は電話だけ。普段は何しているかわからない。
- 親がどんな老後を過ごしたいと思っているか聞いたことがない。
- 実家がどんな状況になっているかわからない。(1年以上帰省していない)
- 親の介護について兄弟で話をしたことがない。
- 親がどんな人と付き合いがあるかわからない。
- 親の近所に住む人や親戚との付き合いがない。
- 親にどんな持病があるかわからない。
- 親の預金通帳や実家の権利書などがどこにあるかわからない。
- 介護保険について良く知らない。
- 介護にどれくらいの費用が掛かるかわからない。
いかがですか?当てはまっていますか?
当てはまっている数が多ければ多いほど要注意。
実際、親に介護が必要になった時にはこの項目に当てはまる内容を知っておく必要が出てきます。
各項目について、それがなぜ必要なのかまとめてみますね。
1.親との連絡手段は電話だけ。普段は何しているかわからない
電話で話をしていても、親の生活状況は見えないものです。
電話では元気そうに話をしていても、実際には体の調子が悪く外出もままならなかったり、家事が思うように出来ておらず家が汚れ放題になっていたなんて事も。
様子を把握できる人と繋がりを持っておくと変化に素早く気づくことが出来ます。
2.親がどんな老後を過ごしたいと思っているか聞いた事がない
親の老後に対する気持ちを確認する事は、介護が必要になった時の選択肢にも関係します。
自宅で最期を迎えたいのか。自分で身の回りの事が出来なくなったら施設が良いのか。誰に世話をしてほしいのか。
親が老後にどのようなイメージを持っているか知っている事で、介護のかたちも変わってきます。
3.実家がどんな状況になっているかわからない(1年以上帰省していない)
歳を重ねると、以前簡単に出来ていた事が大変になってきます。
階段の昇り降りや玄関を上がる事が辛いなんて事も。思うように片付けが出来なくて、動線に物が散乱しているなんて事もあるかもしれません。
全て転倒につながる要因になります。転倒をきっかけに介護が必要になる方も多いです。
毎月は難しくても、数カ月に1度は様子を見に行くようにすると良いと思います。
4.親の介護について兄弟で話をしたことがない
兄弟のいる方は、親が元気なうちから介護についてお互いの意見を共有しておくことをお勧めします。
実際に親に介護が必要になった時、兄弟間で意見に相違があると揉め事になります。
「うちの兄弟は中が良いから大丈夫」とタカをくくらず、話し合っておくと良いでしょう。
5.親がどんな人と付き合いがあるかわからない
親の付き合いを知っていると、いざという時に協力を得られる事もあります。
もしくは、あまり好ましくない付き合いがあり後々面倒な事になってしまう事も少なからずあります。
普段親がどのような交友関係を持っているのか、普段から親と話す機会を持ち確認しておくと良いでしょう。
6.親の近所に住む人との付き合いがない
5に似ていますが、これも親の近所に住んでいるの人と少しでも交流を持っておくことで協力を得たり、リスク回避に繋がります。
7.親にどんな持病があるかわからない
親の持病を知る事はとても重要です。救急搬送をされると、病院で過去の持病など詳しく聞かれます。
知らない事での不利益は計り知れません。知っていて損はないので、必ず確認しておくようにしましょう。
また、かかりつけの病院はどこか?どのような薬を飲んでいるのか?まで把握できるとベストです。
8.親の預金通帳や家の権利書などがどこになるのかわからない
ここまで把握できている方も少ないと思いますが、是非知っておいた方が良いでしょう。
親も高齢になると、場所を上手く説明できなかったりどこにしまったのかわからなくなることもあります。
何より急に入院した場合などは、確認したくても出来ません。予め聞いておく事をお勧めします。
9.介護保険について良く知らない
親に介護が必要になったら、必ずと言って良いほど介護保険を利用されると思います。
どのように申請をすれば良いのか、どんなサービスが利用できるのかを早いうちに知っておくと、いざという時に慌てずに対応できます。
こちらの記事も合わせて参考にして頂けると嬉しいです。


10.介護にどれくらいの費用が掛かるかわからない
介護保険のサービスは1割~3割の負担で利用する事が出来ますが、それがどの程度の金額になるか知っておく必要があります。
親の年金で問題なく利用できるのか。施設に入所するとしても問題ないか。予め知っていれば、いざ介護が必要になった時に冷静に判断する事が出来ます。
別居介護を成功させるポイント9つ
では実際に、親と別居されている方が自分の生活を維持しながら介護を成功させるポイントを上げます。
パニックになりやすい方の傾向を踏まえて、成功ポイントを9つに分けていきます。
- 親の生活について早めに掴んでおく
- 元気な時から親の周りの人たちと良い関係を作る
- 自分の家族との合意を取る
- 介護のキーパーソンを決めておく
- 早めに専門家に相談
- 親の近くで動いてもらえる人を確保する
- 介護情報を早めに手に入れる
- 介護に掛かる費用を試算し、対策を練る
- 自分の心と体を大切にする
1.親の生活については早めに掴んでおく
普段親がどのような1日を過ごしているのかを、元気なうちから掴んでおきます。
もし少しでも変化があれば、親の体調などにも変化が出てきている可能性があります。
変化に早く「気づく」事で、介護になる前に予防する事にも繋がります。
2.元気なうちから親の周りの人たちと良い関係を作る
これは上記6にも書きましたが、近所に住む人や親の友人などと良い関係を作っておくと、いざという時に協力を得る事が出来ます。
特に親元と離れた場所に住んでいる方は、親の近隣の方と関係性を築くことで親の生活状況を教えてくれたり、何かあった時にすぐに連絡をくれたりと助けてくれる可能性が高まります。
3.自分の家族との合意を得る
親の介護で家族の意見が合わずに揉め事に発展する事もあります。いざ介護が必要になった時に話し合ったのでは冷静な意見をお互い出し合えません。
誰が介護するのか。同居するのか。施設なのかなどなど、配偶者や兄弟と話し合っておく事をお勧めします。
4.介護のキーパーソンを決めておく
介護が必要になると、様々な場面で判断をしなければならない事が出てきます。
実際に介護にあたるというよりも、各々の場面で判断をしていく役割です。
兄弟や親戚なども踏まえて、誰が主治医や介護サービス事業所等との窓口になるのか決めておきましょう。
5.早めに専門家に相談
親の生活の様子に対して「あれっ?大丈夫かな?」と心配な事が出てきたら、早めに専門家に相談しましょう。
市町村の介護保険課窓口や親の家の住所地を管轄している地域包括支援センターなどにまずは相談してみると良いと思います。
6.親の近くで動いてもらえる人を確保する
実際に介護が必要な状況になったら、介護保険サービスだけでは全てを補う事は難しいです。
ご近所の方などに、少し様子を見に行ってもらえるだけでも状況は変わります。
少しでも親の近所で協力してくださる方を作りましょう。
7.介護情報を早めに手に入れる
親の住んでいる地域にはどのような福祉サービスがあるのか。役所は親切に教えてはくれません。
自ら情報を入手する事が必要です。
早いうちから情報を知っておくといざという時に慌てずに済みます。
8.介護に掛かる費用を試算し、対策を練る
介護保険サービスはどの程度お金が掛かるのか。施設に入所するとしたらいくらになりそうか。
お住いの地域や親の状況に応じて金額は変わってくると思います。
親の希望に沿った生活を行う場合に、どの程度お金が掛かるか知っておくと良いでしょう。
9.自分の心と体を大切にする
別居と言えど「介護」をするという事は心身ともに負担が掛かります。
様々な判断をしなければならなかったり、突然親元に行かなけばならない事が起きたり。
親を大切に思うからこそ自分を犠牲にしてしまう方もいますが、まずは自分の心と体を大切にする事こそ親を想った判断であったり、介護をする事に繋がります。
まとめ
普段から親と話す機会がある方は、親が歳を取り変わっていく様子が見えると思います。
しかし、親と離れて暮らしていて年に1回会うか会わないかという状況だと、思いのほか親の様子が変わっていたという事になるかもしれません。
体調を崩していて、介護が必要な状況になっているのに無理して生活していたり。
自宅が荒れ放題になっていて、周囲の住民から苦情を言われてしまっていたり。
「もっと早く気づいてあげられていれば」という事にならないように、親の生活状況には早いうちから目を向けておくと良いと思います。
少しでも参考になれば幸いです。
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