この記事では私の本職である介護支援専門員(ケアマネジャー)という職種を活かして、「介護保険の利用開始まで」について説明していきます。
介護は予測する間もなく、突然に訪れる事があります。

急に妻が入院してしまった。退院しても今まで通りには生活できないかも…
そんな時、介護保険って聞いたことあるけど「そもそもどうやったら利用できるの?」
「介護保険で何が出来るの?」とわからない事が多いと思います。
今回の記事では「申請」~「利用開始まで」を書いていきます。
どうやったら利用できるの?①介護保険申請編
まず介護保険を利用するにはお住いの市町村に「介護保険申請書」を提出します。
介護保険申請書の入手方法
- 市役所のホームページ
- 市役所の窓口で直接入手
申請書は各市町村のホームページからダウンロードできる所がほとんどです。親切な市町村だと「申請書ダウンロード」と一覧にしてくれている所もあります。
介護保険申請書の提出方法
- 郵送
- 市役所窓口
- 地域包括支援センターへ相談、代行申請依頼
急ぎの場合は
申請書は郵送でも受け付けています。お仕事で窓口まで行けない方は郵送で送付しましょう。念のため郵送前に介護保険課に郵送することを伝えておくと間違いがなくて良いかもしれません。
「介護保険申請書」の他に各市町村ごとに別紙を添付する事が多いです。別紙には認定調査の日時を調整する際の連絡先や調査日程の都合などを書き込む欄があります。各市町村に応じて様式は様々なので用紙を確認しながら記入して、申請書と合わせて提出します。
ポイント!介護保険認定の結果がスムーズに下りるコツ!
結果がスムーズに下りるポイント
- 主治医に「介護保険を申請しますので宜しくお願いします」と伝えておく
介護保険の認定を受けるには主治医が記載する「主治医意見書」が必須になります。

意見書は市町村と主治医が直接やり取りしてくれるのでご安心を
医師によっては、数カ月も診察をしていないと主治医意見書を書けないと言われることもありますので必ず定期受診をしておくか、申請に合わせて出来るだけ早めに受診をしましょう。
病院に入院中であれば、その病院の医師が記載してくれます。
どうやったら利用できるの?②認定調査編
介護保険申請書を提出後、約1~2週間で役所から調査が来ます。
認定調査がなかなか受けられないと、「暫定プラン」でサービスを利用する事も出来ません。「暫定プラン」については後ほどまた説明します。
ポイント!介護認定の結果を適切な介護度にするためには!
認定調査時のポイント
- 普段の様子を正確に伝える
調査を受ける本人は、初めて会う人を前に張り切って良い所を見せようとします。本人を目の前に訂正してしまうと、傷つけてしまうかもしれませんので、調査に同席される方が調査終了後に別室等で直接調査員に普段の様子を補足して伝えてください。そうすれば適切な認定の結果が下りると思います。
介護保険の認定結果は、調査員が記載する「認定調査票」と主治医が記載する「主治医意見書」の二つを材料として、市町村の付属機関である「介護認定審査会」で決定されます。(介護認定審査会とは保健、医療、福祉に関する学識経験者が集まった合議体です)
どうやったら利用できるの?③ケアマネジャー選定編
介護保険申請後から約1カ月を目安に、自宅へ介護保険証が届きます。
届いた介護保険証を確認して
- 要介護と書いてあれば「居宅介護支援事業所」
- 要支援と書いてあれば「地域包括支援センター」
へ連絡して介護サービスの利用について相談していきましょう。

居宅介護支援事業所とはケアマネジャーのいる事業所の事を言います
居宅介護支援事業所ってどこにあるの?とわからない場合は、市町村の介護保険課に事業所の連絡先一覧をもらって連絡します。多くは介護保険証と一緒に事業所一覧が封筒の中に入っていますので、確認してみましょう。
ポイント!ケアマネジャーの選び方。
ケアマネジャーを選ぶポイント
- ケアマネジャーの在籍数が多い事業所で選ぶ
良いケアマネジャーがどこにいるかはわかりません。ただ、ケアマネジャー在籍数が多い事業所であれば気が合わないケアマネジャーが担当になっても、担当者をすぐに変更する事が出来ます。
ケアマネジャーの在籍数が少ないと、居宅介護支援事業所ごと変更する必要が出てきます。その場合は再度契約を交わす手間がかかる為、出来るだけ手間を掛けたくないという方は在籍人数で選んでも良いかもしれません。
介護保険の結果を待たずにサービスを利用するには?
すぐにでもサービスを利用したい場合は、「地域包括支援センター」へ相談します。
地域包括支援センターは「要支援」の方しか担当は出来ませんが、結果がどちらで下りるかわからない方の場合は予め「居宅介護支援事業所」のケアマネジャーと共に動いてくれます。
介護保険の結果が下りる前にサービスを利用する事も「暫定ケアプラン」を立てる事で可能になります。
「暫定ケアプラン」でサービス利用する時の注意点
- 「自立」の判定だった場合は全額自費の可能性も
あくまで「要支援」か「要介護」で結果が下りることが前提になりますので、万が一「自立」という判定になった場合は全額自己負担になる場合もあります。その点を踏まえて暫定でサービスを利用する場合は地域包括支援センターや居宅介護支援事業所と良く相談の上で利用してください。

「要支援」「要介護」の結果が下りても、保険点数が超過していた場合は超過分を自費負担として支払う必要性があります。
どうやったら利用できるの?④サービス利用編
介護保険の認定が下りて、ケアマネジャーも決まったら、あとは利用したいサービスを担当ケアマネジャーと相談して決めていきます。

ここまでくれば、あとはケアマネジャーが調整してくれますのでご安心を。
介護保険を利用するにあたっては、利用者と各サービス事業所が契約を交わす必要があります。
サービス利用前には、そのサービスを今後どのような目標を立てて利用していくかを話し合う「担当者会議」を経てから利用開始となります。
まとめ
介護保険申請を行ってから、介護サービス利用開始までは一般的には約1カ月程度かかります。
状況が緊迫していて急いでサービスを利用されたい方には結果を待たずに利用できる方法もあります。
その場合は自己負担金が多くなる可能性がある事を理解した上でご利用頂ければと思います。余程急ぎでないのであれば認定結果が下りるのを待ってから介護サービスを利用する事をお勧めします。
コメント